マッドマックス
万全の冬支度が完了していると書いたレガシィは、その日にスピンし、前部を破損した。
そこで僕は、破損して収まりの悪くなったバンパーを外すことにした。昨年から、外そうかと考えていたので、ちょうどいいきっかけだった。
厳冬期、車高の低いレガシィのフロントバンパーは、過酷な環境におかれる。深雪走行では、前方から雪の圧を受け、付着する氷塊の重力と、氷塊を介した路面ギャップの衝撃にさらされる。それに、何度となく雪山に衝突し、万全ではなかった。
この冬、アウトバック用のストラットで車高も高くなった上に、バンパーを外したことで大きく空いたスペースには、大型のフォグランプを付けた。大きなレンズのなかで黄色く光るハロゲンライトは、吹雪のなかで役に立つ。
こうして、僕のレガシィはマッドマックス風になった。
マッドマックス風のワイルドな乗り物は、子供たちにも人気だ。
マッドマックスの世界は、世紀末の荒野だ。僕のいる世界も、厳冬期にクルマが動かなくなると生死にかかわる点において、マッドマックスの世界と同じだ。会社に行く道で遭難しても不思議はない。だから、装備は慎重に選び、毎年見直している。
スノーブラシ、スコップ、ジャンプケーブル、けん引ロープはもちろん、タイヤチェーンと脱出用マットに工具多数。スノーソーは、タイヤの周辺に付着する雪を切断するために去年から装備した。超小型のジャンプスターターは、今年からの装備だ。
これらの装備によって、大抵のトラブルなら自力で何とかできるはず。