水の出ない生活
「玄関が雪に埋まって出られなくなるよ」
こう聞かされていたので、覚悟はしていた。
でも、今年は雪が少ないので、まだ玄関は埋まっていない。
その一方、別の問題が発生していた。水が出ないのだ。
僕の家に、公営の水道の水は来ていない。
来ているのは、近くの沢の水をタンクにためそれをポンプで押し出すことで供給される水だ。この給水システムは、このエリアの地主さんが作ったものだ。完成当初より、この給水システムが不安定だったらしい。僕が引っ越してからも、水が出ないことは度々あった。
しかし、今回はこれまでとは状況が違う。正月明けからずっと、水が出ていないのだ。ポンプを管理する地主さんに頼んではあるものの、状況確認にさえ来てくれない。そこで僕は、ポンプ小屋のある場所まで、様子を見に行くことにした。
入り口前の雪をどかし、ポンプ小屋の中に入り、ポンプの様子をチェックした。タンクの中に、水はほとんどない。どうやら、揚水ポンプに問題があるようだ。しかしながら、どうやって修理すればいいのか分からない。僕は何もできぬまま、家にもどった。
そうして、これから数ヶ月間つづく、水の出ない生活が始まった。