ハイク&ダウンヒル
2020東京オリンピックの追加種目として、スケートボードが採用された。IOCの意向はさておき、追加種目の選定権は開催国にある。つまり、日本のオリンピック組織委員会が、スケートボードを推したのである。しかも、「パーク」のみならず、組織委員会が推していない「ストリート」も採用となった。採用の背景には「人気」つまり「興行的に有利」との見立てがあることに疑いはない。
採用の背景はともかく、スケートボードが初めてオリンピック競技となる日本で、スケートボードは、はたして受け入れられているのだろうか。競技者や愛好者の話しではなく、そのスポーツを取り巻く環境の話しだ。
ぼくの知るかぎり、西欧諸国においては、動力を使わないスケートボードやローラースケートは、自転車と同等に扱われている。つまり、公道(ストリート)で使用することは、法律で禁止されていない。なお、車両との事故における日本との処理の違いは、長くなるので割愛する。
日本の法律においては、『交通のひんぱんな道路』でスケートボードに乗ることが禁止されている(道交法76条4項3号)。この抽象的な定義は、事実上、通報者の許容量と警察のさじ加減次第だ。道路はさておき、安全な公園(パーク)のなかでさえ、ことごとく禁止にされている。通報されることを嫌う自治体がそうしてしまうのである。
堅い話しはさておき、道路の事情は、道路ごとに大きく異なっている。僕には『交通のひんぱんな道路』に見えない道路でスケートボードをするために、ハイキングに出かけた。とうぜん、リュックにはスケートボードが装着してある。登りのルートは今年から営業を中止したチセヌプリスキー場から五色沼へ向かうトレイルだ。
出発してすぐ現れたのは、リフト下のクマザサをかき分けるような道なき道だ。
朝露がまとわりつく不快な道を抜け、ようやく見通しがよくなってきた。
青い秋の空と赤いナナカマドのコントラストが美しい。
シャクナゲ岳とチセヌプリ山、そして五色沼への分岐点。
シャクナゲ岳方向には、ビーナスの丘と呼ばれる丘陵が広がっている。
長沼を右手にみながら、ようやくたどり着いた神仙沼の看板。
自然休養林には木道が整備されていて歩きやすい。
そして神仙沼。青空が水面に映しだされる美しい景色が見れた。
そしてダウンヒル。スケートボードでのダウンヒルは初めてなので、完全防備のいで立ちで滑った。
終点まであと少しというところで、絶え間のない振動と、しばしば出現するギャップに負けて、スケートボードのトラックが分解してしまった。