ジェットストリーム

函館 金森倉庫

大学を卒業し、この春に就職を迎える娘が、北海道に遊びにやって来た。新千歳空港で出迎え、札幌、小樽、余市を駆け足で観光した。続く3日間はニセコでスノーボードを教えた。その翌日、朝日が昇るころ、函館に向けて自宅を後にした。
早朝の自宅前

途中、駒ケ岳山麓の大沼に立ち寄る予定だ。肩を痛めなければ、僕は凍結した湖面でカイトをするつもりだった。国道から逸れ、除雪の不安が残る細道を、僕たちは大沼に向かった。
大沼への道

やがて、雪に覆われた真っ白な湖面があらわれた。
凍った湖

大沼から函館まではおよそ1時間。僕は何度も函館に来たことがあるものの、定番の観光スポットをまわった。
トラピスト修道院

最後の夜は、夜景を見るのに立地のよいホテルに泊まる予定だ。
娘の買い物に付き合って函館の金森倉庫に行き、店内をまわっていた僕は、気になる商品を見つけた。さんざんその商品を見ておきながら、たかだか1500円ほどの商品を、僕は買わなかった。そうして、ホテルに戻り、五島軒という老舗のレストランにふたり出かけた。店構えは高そうな店だ。それが実は高くないことを、僕は事前に調べて知っていた。

一皿づつ出してくれるコース料理最後のメインディッシュを食べ終えた後、娘がプレゼントをくれた。あけてみると、金森倉庫で僕が購入をためらった品物だった。どうやら、トイレに行くふりをして、ひそかに買っていたようだ。

プレゼントをもらった僕は、もちろん嬉しいのだけれど、お金がないことを見透かされた気がして、すこし情けない気持ちになった。東京のサラリーマンとは違う、自由なライフスタイルで父親の威厳を示そうとしたのだけれど、経済的には自由でないことが完全にバレてしまった気分だ。

とにかく、娘の大学卒業をもって、父親としての主たる使命は終わった。これから僕は、自分のためだけに暮らしていけばいい。肩の怪我がよくなる頃に、雪はあまり残っていないかもしれない。でも僕は、雪の下から一斉に緑が芽吹く北海道の春が大好きだ。

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