ビブラムソール
このブーツは、30年以上前に買ったイタリア製のハンドメイドだ。
バックパック旅行用に買ったものの、その後ほとんど出番はなかった。レッドウイングを街で履くおしゃれな人たちを真似て、このブーツを街で履いてみたこともあるが、硬いビブラムソールはアスファルトとの相性がすこぶる悪い。そうして、長いあいだ靴箱の奥底で眠り、ビンテージとなっていた。
そのビンテージが、移住してからは大活躍だ。
雪が溶けると、僕の家へのドライブウェイは砕石が露出する。だから、砕石に負けない硬い靴底が必要だ。また、ドライブウェイから一歩踏み出すと、靴底はブロックパターンでなければならない。さらに、重登山靴のように厚い皮革のシェルは、斜面での安定感と作業時の安心感を与えてくれる。
庭仕事のときにも、このブーツの出番は多い。もちろんゴム長靴も持ってはいるが、がばがば感と通気性ゼロが嫌で、雨の日以外ほとんど使わない。
そして今日、このビンテージブーツを履いて、庭に畑をつくっている。
わずかな畑であっても、自分で育てる喜びと、新鮮な野菜がいつでも畑にある豊かさを感じられるはずだ。
誰もが描く「地方に移住したら、庭で家庭菜園!」を気軽に実践したわけである。しかしながら、雑草の生い茂った土地を約5坪を掘り起こしただけで、開墾の大変さを思い知った。そこで、お隣さんに出張耕運を頼むことにした。