アリバイ工作と掟破りの大幅値引き
UTグループへの理不尽な対応に示したとおり、町長らは、まるで非常識で不誠実で不躾な対応を用いて、UTグループに白紙撤回をさせた。
年末年始の短い期間で実施された公募2回目
2015年11月2日をもって、UTグループとの交渉は決裂した。その約1カ月後の2015年12月18日から2016年1月29日にかけて、蘭越町は2回目の公募を実施している。初回公募が4か月以上の期間を置いたのに対し、2回目の公募は、わずか1ヵ月強だ。しかも、年末年始をはさんでいることから、実質的な検討可能期間は、2週間程度だ。
- 2014(H26)年 蘭越町が公募を開始(2014年12月‐2015年4月)
- 2015(H27)年 11月 UTホールディングスとの交渉決裂
- 2015(H27)年 再公募(2015年12月18日‐2016年1月29日)
- 2016(H28)年 売却金額を減額し、再公募(2016年3月‐2016年4月)
- 2016(H28)年 JRTとの売買契約が締結された(2016年10月28日)
年末年始を挟んだ2回目の公募が暗喩しているのは、値引きのためのアリバイ工作だ。なお、町の職員と話しをしていても、(正しくは)3回目の公募が2回目の公募として扱われている。2回目の公募の存在は、情報開示請求の過程で明らかとなったものである。
そして掟破りの大幅値引き
2016(H28)年3月2日、山内総務課長(現副町長)は、公募価格を5000万円から1000万円に引き下げる稟議書を起案した。この稟議書では、いったん20,000千円と記された公募価格が10,000千円に訂正されている。
また、公募期間は、初回公募が2014年12月‐2015年4月の4か月強であったのに対し、値引き後の公募は3月7日から4月22日までの2か月弱に短縮された。
大幅な値引きをして再公募する位なら、なぜ蘭越町は、UTグループの要請を拒絶したのか?
UTグループの言う通り、初回公募において、譲受人が土地の賃借するために連帯保証人を立てる必要があることは記されていない。
後からを連帯保証人を立てろと言われて、UTグループがとまどうのは当然だろう。
参考までに、3回目の公募条件の抜粋を次に示す。
「なぜ蘭越町は賃借権を手放したのか?」に記したとおり、山内氏は、公有財産を運営/処分にかかる基本を理解していないと言わざるを得ない。残念ながら、賃貸借契約にかかる基本的な知識もない。そもそも、国定公園内の土地の賃借権を含め、すべての資産を売却処分すること自体がピント外れの選択である。
「チセヌプリCATスキー」と「蘭越町がわずか1000万円で売ったもの」に記したとおり、蘭越町が手放してしまったのは、東京ドーム22個分の国定公園を坪あたり1円以下の賃料で借りる権利と、古いが立派な建物である。
山内氏は、北海道との賃貸借が終了したときの原状回復費用をことさら持ち出しては、売却処分の正当性を示そうとする。しかしながら、「ワイスCATスキー」に示した通り、リフトの停止やスキー場の営業休止によって、即、現状回復を迫られるものではない。土地の所有者が国であれ、道であれ、スキー場として賃借した土地に対し、「スキー場を営業終了後、〇年以内に契約解除」といった期限などないのだから、折をみて、スキー場の再開を検討すればよいだけの話しだ。
まして、チセヌプリスキー場は、その立地の優位性と雪質の良さから、やり方次第で集客の可能性は大きく伸びる可能性があるのだからなおさらだ。事実、UTグループは年間9万人以上の集客を目標としていた。
それに対し、JRTが運営しているCATスキーは、1人13人の全山貸し切り、120日営業可能であると仮定し、最大利用者数は1,560人に過ぎない。大きな問題は、少人数で全山貸し切り型での運営は、提案に示されていないことにある。別の問題としては、全山貸し切り型で客単価を高くするために、他の利用者をスロープから排除していることがあげられる。また、安全確保を名目に排除していながら、CATの走行しないスロープさえ立ち入り禁止としているから、ツアー事業者とは、裁判沙汰のトラブルに発展している。とにかく、1日5万円を払える富裕層のためだけスロープとなっており、それを払えないバックカントリースキーヤーには、敬遠される結果となっている。事業者は儲かるが、これが地域振興になっているとは思えない。