不動産の契約

    羊蹄へ向かう道

    5月26日の午後、僕は支笏湖経由の道でニセコ方面に向かっていた。
    ゴールデンウィークの陽気は、北海道ではちょうどこの頃にやってくる。晴れた空の下、信号のほとんどない道をドライブするのは快適だ。少し開けた窓からは、一斉に芽吹きはじめた緑が浄化した空気がはいってくる。

    僕は、これからずっと北海道に住むつもりだ。都会には何の未練もない。
    空だけでなく、僕の心も晴れ晴れとしているが、この1週間はかなり忙しい。

    5月25日
    午前中 ハローワークで最後の雇用保険受給
    午後1時、売却不動産の引き渡し
    午後6時半 大洗発苫小牧行きのフェリーに乗車
    5月26日
    午後1時半 苫小牧着
    午後4時半 蘭越で購入不動産の契約と引き渡し
    5月27日
    午前11時 引越荷物の搬入

    午後、4時に不動産屋に到着し、売買の決済を済ませた。100万円を超える大金を現金で支払ったのは、これが初めてかもしれない。契約後、売り主さんと現地で引き渡しをおこなった。

    僕は、ふと千歳空港近くの駐車場にあずけたままのオートバイのことを思い出した。オートバイを取りに行くために、売主さんに駅まで送ってもらうことにした。うまくいけば今日中に帰れるかもしれない。今日はむりでも、明日の搬入までには帰ってこれると思った。

    駅に到着すると、すぐ午後6時発の電車がやってきた。2時間に1本程度しか電車のこないことを考えると奇跡だった。ただし、乗り継ぎが悪く、途中で今日の帰宅はあきらめた。千歳空港温泉に泊まって、明日早朝に戻ればいいと思った。

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