狩猟で地域おこし

    北海道の狩猟

    僕が猟銃の所持許可をとったのは、エゾシカを獲るためだ。
    肉は、自分で食べてもいいし、ジビエに売れるかもしれない。
    それから、仲良くなるため、知り合いに配ろうと思っていた。

    ただし、北海道で狩猟が解禁されるのは10月。
    ほどなくスキー場がオープンして、狩猟そっちのけになるはずだ。

    「猟銃は止めておこうかなぁ」
    そう思いながら、近隣町村でエゾシカが獲れるかどうか、ネット検索していた。
    そこで、たまたま留寿都村の『地域おこし協力隊』の募集広告を発見した。

    すでに申込期限が過ぎているので、役場に電話してみた。どうやら、応募者ゼロで再募集となるらしい。募集対象の抜粋は次のとおり。

    1. わな狩猟免許、第一種猟銃免許、猟銃等所持許可の資格等を取得している方
    2. 活動期間終了時に留寿都村において就業して定住する意欲のある方
    3. 地域住民と協力しながら意欲的に活動できる方

    報酬は月額16万6000円と安いが、活動費として年間200万円の実費支給があるようだ。それに留寿都村にはルスツがある。ルスツのスキーリフトは、その機動力でニセコを上回っている。つまり、待たずに乗れるのだ。

    それから、僕は、常に選択肢を持っていたい。今の仕事をすこぶる気に入ってはいるが、隷属しないために選択肢は必要だ。そこで、さらに詳しく役場の人に聞き、自分で調べてみると、前任者は映像関係が専門で、MTBのエキスパートだったらしい。どうやら、ニセコで就職が決まり、退職したようだ。彼が『広報るすつ』に残した記事の”行間”からは、その仕事が腰掛けにしかならないことが読み取れる。そもそも、任期が1年、最大で更新2回なのだから、典型的な「腰掛け職」である。『地域おこし協力隊』の概要を決めた官僚は、「パートやアルバイトよりマシ」だとでも思っているのだろうか。

    パートには、正社員への門戸が開かれていることが多い。パートから社長になったブックオフの例もある。一方、地域おこし協力隊の隊員に、常勤職への道はない。それに、お役所が大嫌いな僕が、お役人よりはるか安い給料、かつ、不安定な身分で働くことを容認できるとは、とうてい思えない。僕は、それ以上深く考えることは止めることにした。

    ただし、これから北海道への移住を検討する人にとって、留寿都の地域おこし協力隊は悪くないと思う。なぜなら、将来あるブランド地区だからだ。一時的な腰掛けとしてそれを利用し、留寿都村に住みながら、「何がしたいか」「どこに住みたいか」を考えるのである。それに、低賃金と不安定な身分は、留寿都村が一過性の人材しか期待していないことを暗示している。

    『地域おこし協力隊』という全国の自治体がおこなう”金太郎飴”は、共通して「地域への貢献」という大義を掲げている。しかし、低賃金と不安定な身分で、地元への就職までを約束させるのは、虫がよすぎる。就業期間中にちゃんと仕事をすれば、それで十分だろう。

    200万円の活動資金には、家賃や持ち込み車両費なども含まれるが、月額16万6000円、つまり年額199万2000円の賃金と比較すれば、賃金より多い。それは、自分の糧となる研修にも参加できる。隊員が研修で受けるメリットに対し、村に直接の恩恵はない。また、活動費は、弾薬費はもちろん、猟銃の購入費に充てることもできる。前任者はカメラの購入費に充てたらしい。

    2016年09月12日~2016年10月11日の募集で応募者ゼロだったため、再募集をするらしいので、興味ある人は問い合わせみたらいい。

    留寿都村『地域おこし協力隊』募集広報

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