2021(R3)年12月14日
蘭越町議会議長 冨樫 順悦 殿
蘭越町総務文教常任委員会委員長 難波 修二 殿
蘭越町議員各位
- 陳情人(陳情者)
- 北海道磯谷郡蘭越町富岡1035-3
野村 一也
電話番号 090-4836-4467
陳情の審査結果に対する異議申し立て書
目次
- 第1 異議申し立ての趣旨
- 第2 本異議申し立て書の対象となる陳情
- 第3 蘭越町総務文教常任委員会の審査プロセス
- 第4 異議申し立てをする根拠
- 第5 蘭越町議会に対する陳情人の苦言
- 第6 参考文書の目録
第1 異議申し立ての趣旨
陳情人の陳情に対する2021(R3)年9月21日付け「陳情の審査結果について」は、全体を通して客観的事実に照らす作業がなされておらず、客観性を欠いている。また、陳情人の提出した証拠の評価がされていない。そもそも、陳情趣意書(陳情の趣意)が無視されており、要覧(「陳述書」と題された1枚目)の4項目についてのみの審査結果となっている。さらに言えば、要覧の4項目に対してのみの審査結果としながら、陳情書の言葉を置き替えて審査した箇所(「陳情の審査結果について」中の3、審査意見の4)さえ存在しており、公正さに欠けている。
その一方、町長と副町長に対しては、「人格高潔」などと、人格を礼賛するかのような言葉でまとめられている。形式が優先する就任の儀式で使うならまだしも、公正中立な判断が求められる審査において、使うべき言葉でない。二元代表制の一翼として、議会が執行部を監視する責務に対する自覚が、蘭越町議会に欠如していることを疑わざるを得ない。
それゆえ、陳情人は、本異議申し立て書に対する蘭越町議会の回答と、審査のやり直しを求める。
第2 本異議申し立て書の対象となる陳情
2021年2月12日、陳情人は、次の内容をカバーページとし、別添文書を含めて1枚のメディアディスクに記録した陳情を蘭越町議会に提出した。
チセヌプリスキー場の売却にかかる入札談合行為と背任疑惑の真相究明を求める陳情書
2021(R3)年2月12日
蘭越町議会議長 冨樫 順悦 殿
- 甲 陳情者
- 北海道磯谷郡蘭越町富岡1035-3
野村 一也
電話番号 090-4836-4467
チセヌプリスキー場の売却にかかる次の不正疑惑の究明を陳情する。
- 1回目公募に唯一応募し、譲渡を前提とした協議をおよそ半年間続けていた企業に対し、蘭越町職員らは、非常識かつ高圧的な対応をすることによって、破談を誘導した。
- 2回目公募を不適切な時期に実施することによって、応募者なしの実績を作り、それを大幅値下げの材料とした。
- 3回目公募において、選定が公正に実施されていない。
- 売却先企業が公募時の提案内容と異なる事業を行っているにもかかわらず、蘭越町はそれを容認している。
上記の疑惑は、入札談合等関与行為(入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律第2条第5項)と背任(刑法第247条)に抵触している可能性がある。当局の捜査の有無にかかわらず、地方自治体自らが向き合うべき問題として、蘭越町が対処することを求める。
なお、本陳情書および別添文書はインターネット上に公開する。
https://rural-escape.com/petition/
当該陳情(本陳情)の構成
陳情の件名に「入札談合行為と背任疑惑」が含まれているとおり、陳情は、刑事告発を想定したものである。町職員らによる経済犯罪の可能性を指摘するにあたって、A4サイズの紙1枚に収まるはずもなく、陳情は、要覧である陳情書、陳情本体である陳情趣意書、それから、証拠と証拠説明書で構成した。
陳情人が、陳情書と陳情趣意書を分けたのは、A4サイズ1枚にこだわる当時の事務局長の求めに応じたものである。求められても、A4サイズ1枚には収まらないので、要覧を追加し、それに「陳情書」を冠し、本来の陳情書を「陳情趣意書」とした。「趣意書」の使い方は、控訴審において、「控訴状」が単なる意思表示、「控訴趣意書」に具体的な控訴理由とその内容が示されることのほか、一体となる別文書が存在することを示す文書名として一般的である。そして、陳情人は、「陳情趣意書」が別添されていることを「陳情書」に明示している。
以上の通り、当該陳情(本陳情)において、「陳情書」と「陳情趣意書」、それから証拠と証拠説明書が不可分であることは、誰の目にも明らかである。
第3 蘭越町総務文教常任委員会の審査プロセス
1. 蘭越町総務文教常任委員会の審査日程
蘭越町総務文教常任委員会の審査は、次の日程で実施された。
- 2021年6月30日13:28-15: 05、陳情人に対する陳情調査
- 2021年7月21日13:30-15:15、山内副町長に対する陳情調査
- 2021年7月21日16:35-16:50、総務文教常任委員会における議事
- 2021年9月2日、総務文教常任委員会における議事
- 2021年9月15日、総務文教常任委員会は、陳情の不採択を議会に報告した。
- 2021年9月21日、町議会は「陳情の審査結果について」を陳情人に送付した。
- 2021年11月、町議会は議会だよりNo.184に審査結果全文を掲載した。
2. 本異議申し立て及びその証拠となる公文書の背景について
- 本異議申し立ては、前項に示した議事録を異議の証拠とする。
- 総務文教常任委員会は、陳情人に何ら通知することなく、9月15日に審査結果を議会に報告した。
- 議会が陳情人に審査結果を送付した日は、9月21日である。このことは、審査プロセスと結果について、陳情人が審査を付託された総務文教常任委員会に異議を申し立てる術がないことを示している。
- 本異議申し立て書が12月10日の提出となったのは、確認すべき総務文教常任委員会の議事録が開示されたのが、11月25日となったためである。
- 2021年6月30日より前の期間において、蘭越町議会は各常任委員会の議事録を録っていない。総務文教常任委員会においても議事録はなく、あるのは「〇〇について協議した」といった程度の極めて表面的な会議要点記録だけである。(2017年以降の総務文教常任委員会 会議要点記録)
- 総務文教常任委員会における本陳情に関する議事において、倶知安町・ニセコ町議会並みの議事録が作成されたのは、蘭越町議会事務局を窓口とした陳情人の求めが反映された結果である。
- 陳情人が蘭越町議会の文書管理が劣悪であることに気付いたのは、宮谷内前町長が、総務文教常任委員会を町民の意見そのものであるかのように扱い、それを以って、町民に知らせることなく、星野リゾートが大湯沼の開発打診を断っていたからだ。そのことは、2013年6月10日付け「雪秩父周辺の観光開発に係る星野リゾー ト社長との打合せ概要について」に示されている。
第4 異議申し立てをする根拠
1. 蘭越町議会による当該陳情の審査方法の問題
1-1 委員会の公開ないし透明化に対する事前協議の問題
- 開催期日前、陳情人は、委員会の公開を求めたが、委員会は拒否した。
- 開催期日前、陳情人は、自分が説明する様子を動画に記録することを求めたが、委員会は拒否した。
- 開催当日、陳情人は、公平性を保つために、委員会が録音するなら、陳情人も録音することを求めたが、委員会はそれを拒否した。
- 陳情人は、法律家でなければ理解困難な部分が陳情に多くあることから、委員会が弁護士を手配し、説明に参加させることを、議会事務局に求めたが、委員会は拒否した。
1-2 陳情人調査において陳情人の発言を制約した問題
- 委員会は、陳情人の説明に30分しか与えず、延長を求める陳情人の要求を頑なに拒んだ。
- 陳情人の説明後、永井議員は、刑事訴訟の基本的なことさえ知らずに、ただの誹謗中傷だ、裁判所に行くべきだ、といった主張を繰り返した。
- 難波委員長は、永井議員の独演を許す一方、永井議員に対する陳情人の反論を一方的に制止し、陳情人調査を終了させた。
- 2021年7月8日、陳情人は、蘭越町議会に対し、上申書で謝罪を求めた。
- 同年8月3日、富樫議長と難波議員は、上申書に文書で回答した。
1-3 委員会の議事録には、陳情趣意書に書かれた内容を審査した記録がない
- 陳情人および山内副町長が説明と質疑応答を除けば、委員会の議事は、7月21日の16:35-16:50、たったの15分に過ぎない。それは、山内副町長の陳情調査の直後に行われた。議事では、山内副町長の陳情調査における発言の一部だけが記録されており、陳述人の陳情に対する審査は存在しない。その15分の議事で難波委員長が答申案をひとりで作成することを提起し、それで終了した。なお、陳情人の陳情調査が行われた日において、「陳情人に対する陳情調査」に記録された以外の議事がないことは、議会事務局福原事務局長に確認済み。
- 7月21日の議事において、唯一、踏み込んだ議論が記録されているのは、連帯保証人についてである。これは、議事の直前に実施された山内副町長の陳情調査における発言を受けていることは、議事録の内容から明らかである。
- 9月2日は、総務文教常任委員会のなかの一議題として扱われている。その内容は、難波委員長が書き起こした案の微調整に留まっている。
- なお、陳情人の陳情趣意書において、連帯保証人以前の選択肢として転貸が可能であり、本来そうすべきであったことについて、証拠を添えて説明している。
陳情趣意書より各段落のタイトルのみを抜粋
- 北海道(後志振興局森林室)への責任転嫁
- 転貸等の禁止の条文には、「甲の承認を得ないで」転貸することができないと示されているに過ぎない。
- 北海道と蘭越町との道有林野賃貸借契約は、更新ではなく、1年毎の再契約なので、事前協議を前提にすれば、再契約時に契約内容を変更することが可能。
- 実際、北海道が転貸を認めたケースが存在する。
しかしながら、委員会は、陳情趣意書の内容を審査しておらず、審査結果でも触れられていない。そして、山内副町長の言葉だけを理由に結論につないでいる。
2. 難波委員長が書き起こした「陳情の審査結果について」の問題
審査理由として示されているのは、山内副町長に対する陳情調査における山内副町長の言葉である。そして、理由を添えず、山内副町長の言葉を肯定しているに過ぎない。一方、陳情人が提出した証拠および証拠に基づく問題提起についての評価は、何ら含まれていない。以下、具体的に指摘する。
2-1 1回目応募企業に対し、非常識かつ高圧的な対応により、破談を誘導したとの指摘について
審査結果は、山内副町長に対する陳情調査における山内副町長の言葉を採用しているが、採用した理由が添えられていない。以下、具体的に示す。
- 陳情人が陳情趣意書に証拠を添えて示した以下の事実はまったく評価されていない。
a. 連帯保証人以前の問題として、転貸か、それとも賃借権譲渡なのかが、UTグループに示されなかった。
b. 山内氏が「できない」と主張する転貸は、上述した第4の1-3(4)に示した通り、可能であったこと。 - UTグループとの面談における対応記録において、宮谷内町長と山内副町長(当時総務課長)が発した高圧的な言葉が記録されている。そして、陳情人は調査において、次の画像で説明している。
また、議会事務局の議事録には、陳情人が説明した言葉も記録されている。以下、当該箇所を抜粋する。
左側10月18日に、10月18日にUTホールデイングスの社長が蘭越町まで来て、町長らと打ち合わせをしています。その時の議事録が出てきたので、そこからの扱粋です。この中で宮谷内町長の言葉が上の二つのブロック右側、上から二つ自の、一つ目、二つ自のブロック。1番下がUTホールディングスさんの言葉です。 ちょっと細かく見てほしいのがあります。町長がそれはお宅たちの会社の都合で言ってるけれど、うちの方はそんなの関係ないんだから。総務課長が言ったように、それをこうだああだというふうなことであれば、これは最初から契約が無かったものとして、我々も議会に報告するし、次の候補も来ているんだろう。あんたたちでなくたっていいんだよと、ものすごく失礼なね、言い方をされている。僕は逆に・・・だったらね、本当に怒ってテーブルをひっくり返して帰るぐらいのね、失礼な言い方をねしている。面と向かつて、3人がかりで、町長と副町長と山内総務課長と。これはちょっと・・・に聞こえるかもしれませんけれども、全部本当にね、音声記録じゃないや、記録は見えるようにしてあるんで、ご興味があれば見てください。
委員会の審査は、これら陳情人の証拠や説明にいっさい触れることなく、副町長の言葉を採用しており、公正さに欠けている。
2-2 2回目公募を不適切な時期に実施し、応募者なしの実績を作り大幅値下げの材料としたとの指摘について
- 委員会は、副町長は年末年始を含む短い期間でも1社の応募者があったとの説明を採用し、短期間であるものの妥当な判断であったとしている。しかし、年末年始の短期間で1社の応募があったなら、年末年始以外にもっと期間をとれば、応募者が現れることを推測することのほうが、より自然な評価である。
- 大幅な値引き(8割引)の根拠は何ら示されていない。
- なお、7月21日の山内副町長に対する陳情調査の議事録によれば、山内副町長は、会計上の固定資産としての残存価格だけで売却額を正当化している。周辺相場の検討は為されていない。また、国定公園内で独占的な事業を行い得る賃借権の価値は認識さえできていない。
2-3 3回目公募において、選定が公正に実施されていないとの指摘について
- この項については、ただ、表面的な事実を並べ、「一連の作業は公正適切であると認めれます」とされているに過ぎない。何ら理由は添えられれておらず、公正さのかけらさえ存在しない。
- 理由を添えずに「選定が公正に実施されていないとの指摘はあたらない」と断定する一方、証拠を添えた陳情書上の指摘に対する評価は一切ない。
- なお、蘭越町がJRT以外が提案した内容を非開示とした一方、蘭越町情報公開審査会は陳情人の審査請求を認め、蘭越町に開示を求めた。そして、蘭越町が開示した最終選考提案によれば、3社のうちリフトの再開を仄めかしたのは、採用されたJRTだけであった。
2-4 売却先企業が提案内容と異なる事業を行っているとの指摘について
陳情人は、陳情書の箇条書きの最後となる4番目に記した内容は次のとおり。
売却先企業が公募時の提案内容と異なる事業を行っているにもかかわらず、蘭越町はそれを容認している。
一方、審査結果は、この質問に答えていない。そして、リフトの架け替えに話しをすり替えて回答している。
なお、陳情人は、陳情書の4番目に記した内容の問題について、陳情趣意書において、より具体的に記している。
JRTが実施している事業については、次の問題がある。
- 主たる事業として提案したスキーレッスンは実施されていない。
- 早朝限定であったはずのCATスキーは、極めて少人数を客とする全山終日貸切り型の運用がなされている。
- (3と4は省略)
つまり。提案された事業が行われず、提案にない事業だけが行われることによって、地域振興どころか、来訪さえ敬遠される事態が引き起こされている。これは売却価額の不当引下げとは別の損害である。
≪甲22≫≪甲23≫に示した通り、金秀行と山内勲は、JRTが提案と異なる事業を行うことを容認するばかりであった。金秀行と山内勲には、蘭越町に損害を与えた上、さらに現状を容認する『特別な事情』があるようなので、その調査を併せて求める。
陳情人は、陳情書だけでなく、陳情趣意書においても、上記の指摘を最後段に配置した。それは、陳情全体の構成として、最も重要であることを示すためである。その疑惑が事実に基づいている証拠として、陳情人は町長と副町長の取材記録をテキストと動画付き音声で示している。それを黙殺して、リフトの架け替えの話しにすり替えて回答した蘭越町議会の審査結果は、論理的には悪辣、社会正義の面において不公正、道徳的には不誠実であり、陳情人はあきれている。
第5 蘭越町議会に対する陳情人の苦言
1. 地方議会の責務について
蘭越町に限らず、すべての地方自治体は二元代表制を採っている。その目的は、抑制と均衡によって緊張関係を保ちながら、議会が執行機関と対等の機関として、自治体の運営の基本的な方針を決定し、執行機関を監視することにある。
議会には、執行機関を監視するための権限として、調査権、監査権、そして、不信任議決権が地方自治法に規定されている。これらは、刑事訴訟法とは別の法体系である。それゆえ、永井議員がアピールした「(陳情人は議会でなく)裁判所に行くべき」という主張は失当である。
それを指摘した上申書に対する回答は、冨樫議長と難波議員が、町議会の責務について、永井議員と同レベルの認識であることを示している。つまり、冨樫議長と難波議員も、議会に執行機関を監視する責務と権限があることを理解していないと言わざるを得ない。
なお、全国の市町村議会を見渡せば、本会議や委員会に出席するだけでなく、議事以外の時間で、公金支出やその他の不正を監視する議員は少ないながら存在する。
また、地方自治法第100条第1項には「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる」(一部抜粋)との条項があり、この権限は議会の百条調査権とも呼ばれる。百条調査権の下では、証言や資料の提出拒否に対し、禁固刑を含む罰則が定められている。これは、地方自治体が独自に保有する監視機能であり、刑事訴訟制度とは完全に独立して行われることを示している。
2. 適正な手続きと言えるか
当該陳情は、本来、町議会または町議員がなすべき公有財産の処分にかかる執行機関の不正監視を、町議員に代わって陳情人が無報酬で行い、それを議会に報告しているものである。
陳情人が蘭越町議会に提出した陳情は、客観的な証拠で組み立てており、証拠の収集とその整理、陳述書を書く作業を合計すると、軽く400時間を超える労力が費やされた報告である。
一方、当該陳情の審査を付託された総務文教常任委員会は、陳情人が要望した説明時間の30分延長さえ拒絶した。そして、当該陳情の評価をわずか15分の議事ですませ、難波議員がひとりで結論案を書いている。そして、議会に答申された「陳情の審査結果について」は、陳情本体である陳情趣意書をまったく検討していないのみならず、4においては、表紙である陳情書の内容さえも無視した内容で取りまとられている。
陳情審理の具体的な手続きについて、何ら規定がないので、陳情人は例規違反を指摘することはできない。しかしながら、議会の審査結果は、陳情人が提出した陳情本体である陳情趣意書を参照せず、添付した証拠に対する一切の評価もなしに結論を結んでおり、著しく公正さを欠いている。また、客観的事実に照らした箇所も見られず、論理的に杜撰である。
住民の代表機関としての重要な役割を有しているはずの蘭越町議会が、公正さも論理性も欠いた審理を行ったことは、議会の存在意義さえ問われる不正義であり、陳情人は、本陳情だけの問題として看過することはできない。
3. 蘭越町情報公開審査会が作成した答申との比較
総務文教常任委員会による「陳情に対する審査」と同類の作業として、情報公開審査会による「審査請求に対する審査」がある。
どちらもチセヌプリスキー場売却公募の不正疑惑を背景とした「専門委員による審査」である。
なお、「審査請求に対する審査」は、チセヌプリスキー場の売却公募の調査段階において、蘭越町の非開示決定に対する審査の請求である。
蘭越町情報公開審査会は、諮問後の2021年3月18日、9ページからなる答申書を作成し、陳情人と金町長宛てにその写しを送付した。
その内容は、次に示すとおり、公正さな判断が期待される専門委員の文章として適切なものである。
- 請求人の主張と実施機関の説明が対等に扱われている
- 判断には、客観的な理由が併記されている
- 委員の主観による判断が疑われる箇所は存在しない。
蘭越町総務文教常任委員会の答申書と比較すると、蘭越町総務文教常任委員会の審査結果は、片方だけ(概ね陳情調査における山内副町長の言葉)を採用しており、採用理由は記されていない。
なお、9月2日の総務文教常任委員会の会議録に記録された難波委員長の言葉は、公正さより、情緒的に身内を擁護する意識で審査を行ったことが如実に示されている。
難波委員長の発言
優秀なことは間違いないでしょ。そうでなかったら町長にも副町長にもなれないんだからさ。だけどもとんでもない酷い ・・・ な中で、高圧的な態度で企業をいじめていた酷い職員なんて言われているわけだから、そうではないと、優秀な職員だよと議会が言ってあげなかったらあまりにも可哀想でしょう。
難波議員の発言は極めて感覚的かつ情緒的である。総務文教委員会は、難波議員の書いた案をそのまま審査した結果とし、「不採択」を議会に報告した。2021(R3)年9月15日、議会は総務文教委員会の「不採択」を採決した。
なお、情報公開審査会の審査請求に対する審査において、その答申は、請求者(陳情人)の請求の妥当性を認め、蘭越町が不開示とした文書を開示することを蘭越町に求めた。そして、その末尾には、蘭越町(実施機関)に対する次の意見が記されている。
第6 実施期間に対する意見
スキー場譲渡に係る公募に際し、提案書の著作権等の取り扱いについて、実施機関、法人等、どちらに権利があるかという取り決めがない中で、提案書が実施機関に提出され、実施機関において公文書 として保有されていたことから 、公文書開示請求の対象となったものである。
町が行う企画提案型のプロポーザルにあっては、法人等から提出される企画提案書等は、公募する時点でその権利、取り扱いを整理し、それを明示したうえで提出を受けるべきであったと考える。
なお、著作権等が実施機関にあるとは言えない (法人等の意思表示が確認できていない提案書については、条例第16条に規定される「第三者に対する意見の聴取jの規定を踏まえ当該法人等の意志を確認することもできたことから、条例の趣旨を踏まえ、対象となる法人等へ開示の可否、また、開示可能な範囲を確認することで、最大限、町民の「知る権利Jの保障及び町の説明責任を果たすことができるのであれば、それをすることが実施機関の責務で、あったと考える。
どちらもチセヌプリスキー場売却公募の不正疑惑を背景とした「専門委員による審査」であるにもかかわらず、審査結果のクオリティ(客観性・論理性・公平性)には、著しい格差が感じられてならない。蘭越町総務文教委員会は、審査機関として果たすべき責務の自覚がない、と指摘されて当然であろう。
4. 議会と執行機関のなれ合いが民主的な町政を阻害する
蘭越町議会が執行機関の監視どころか、町長と副町長に対しては、理由なく「人格高潔」などと持ち上げる情況は、議会と執行機関のなれ合い、あるいは、議会が執行機関の追認機関に成り下がっていることを窺わせるものである。
なれ合いではないとしても、蘭越町議会が執行機関を監視する責務を自覚しないことは、民主的な行政運営の基盤を揺るがす極めて重大な問題である。「町民ファースト」や「町民が主役」といったスローガンの後ろ盾が失われることにつながることなので、看過することはできない。
よって、陳情人は、本異議申し立て書に対する蘭越町議会の回答と、審査のやり直しを求める。
第6 参考文書の目録
なお、本陳情および本異議申し立てに関係する全ての書類はインターネット上にWeb判(html仕様)を公開する。
https://rural-escape.com/petition/petition-appeal.html
なお、Web判には、参考文書へのリンクにより、証拠の参照を容易におこなうことができます。
発生日または文書の作成日 | 文書の作成者 | 文書の名称または内容 |
2013年6月10日 | 蘭越町 | 「雪秩父周辺の観光開発に係る星野リゾー ト社長との打合せ概要について」 |
2016.5.13 | 山内勲 | チセヌプリスキー場譲渡に係る申込概要一覧 |
2020.5.27 | 陳情人(野村一也) | 2020年5月27日の取材記録(リライト文書) |
2020.5.27 | 陳情人 | 2020年5月27日の取材記録(説明動画付き音声記録) |
2021.3.18 | 蘭越町情報公開審査会 | 答申書 |
2021.2.13 | 陳情人 | 陳情書 |
2021.2.13 | 陳情人 | 一連する問題の要覧 |
2021.2.13 | 陳情人 | 陳情趣意書 |
2021.2.13 | 陳情人 | 証拠説明書 |
2021.6.30 | 総務文教常任委員会 | 陳情人に対する陳情調査 |
2021.7.8 | 陳情人 | 総務文教常任委員会への上申書 |
2021.8.3 | 蘭越町議会 | 上申書に対する蘭越町議会の回答 |
2021.7.21 | 総務文教常任委員会 | 山内副町長に対する陳情調査 |
2021.7.21 | 総務文教常任委員会 | 総務文教常任委員会における議事 |
2021.9.2 | 総務文教常任委員会 | 総務文教常任委員会における議事 |
2021.9.5 | 陳情人(原本は蘭越町議会) | 2017年以降の総務文教常任委員会 会議要点記録 |
2021.9.21 | 町議会 | 陳情の審査結果について |
2021.7.8 | 陳情人 | 蘭越町議会の謝罪を求めた上申書 |
2021.8.3 | 蘭越町議会 | 上申書に対するの回答文書 |
以上